早速ですが「十三仏の掛軸」を見たことや聞いたことはありますか?
仏間があるご家庭では、「仏壇の横に飾られているのを見たことがある」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
十三仏の掛け軸とは、主にお盆・お彼岸・回忌法要などの時期に掛けることが多いのですが、意外にその役割や意味については知られていません。
そこで本日は…
・十三仏の掛軸とはどういったものなのか
・描かれている仏様それぞれの役割は?
・掛軸の種類について
以上の3点を、詳しく解説していきたいと思います。
本記事で十三仏掛軸について少しでも興味を持っていただけると幸いです。
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十三仏の掛軸について
十三仏の掛軸とは、その名の通り「十三の仏様が描かれた掛軸」のことです。お盆やお彼岸、法要の際に飾ることが多いのですが、どういった意味があるのかご説明していきたいと思います。
描かれている十三の仏様について
十三仏とは三十三回忌までご先祖様をお守りする十三の仏さまのことです。それぞれの仏様には役割があり、お盆・お彼岸・ご法事などの時期に、ご先祖様の追善供養を願ってお仏壇の近くに掛けられます。なお、浄土真宗や日蓮宗など、使用しない宗派も存在します。
それぞれの仏様と役割については以下の通りです。
①不動明王【ふどうみょうおう】:初七日
「人の煩悩を焼き払い、浄化して人を救うとされる仏様」
明王とは仏法を守護し、人々を災いや迷いから救ってくださる仏さまのことです。 中でも不動明王は「お不動さま」の名で親しまれており、広く信仰を集めています。
そのお姿は、「煩悩にまみれた救い難い者をこそ救うため」「仏道の妨げになるよこしまな心を断つため」勇ましい出で立ちをしているのが特徴です。
都内では、日野市・高幡不動尊 金剛寺の重要文化財「丈六不動三尊」などが有名です。
②釈迦如来【しゃかにょらい】:二七日
「仏教の開祖で人々を救い、悟りを開かせる最高位の仏様」
釈迦如来は、インドの釈迦族の王子として実在した人物です。28歳で王位継承者の地位を捨て、人々が四苦(生・老・病・死)から解放される道を探します。その後、6年にわたる苦行を経て菩提樹の下で悟りを得て仏陀となった、仏教の始祖と言われています。
有名な話として、生まれたばかりのとき7歩あるいた後、天地を指さし「天上天下唯我独尊」と言葉を発したと言われています。
「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」とは?
「この世で1番尊いのは自分自身である」という意味に誤解されがちですが、実は「ひとりひとりが尊い命で聖なる使命を持ってこの世に生まれてきた」という意味が正しいです。
③文殊菩薩【もんじゅぼさつ】:三七日
「悟りを導くための智慧を人々に与える菩薩様」
「三人よれば文殊の知恵」という言葉があるように、知恵の神様として有名な菩薩様です。物事のあり方を正しく見極める力・判断力を意味する「智慧」を司っています。
実は文殊菩薩にはモデルとなった人物が存在します。古代インドにあるコーサラ国の首都・舎衛国(しゃえこく)のバラモン階級の者だったといわれています。仏教の経典を書物にまとめる作業などに関わっていたようです。
④普賢菩薩【ふげんぼさつ】:四七日
「あらゆる場所に現れ、命あるものを救う慈悲を司るとされる菩薩様」
普賢とは「全てにわたって賢い者」という意味があり、あらゆるところに現れ命ある者を救う行動力のある菩薩様です。また普賢菩薩は、六波羅蜜のうちのひとつ「禅定」(ぜんじょう)をつかさどる仏様であるといわれています。
白象に乗っている姿が一般的です。象は「悟りの実践」を象徴するからきており、白という色は「清浄」を表しています。
六波羅蜜の「禅定」とは?
禅定とは心の動揺・散乱を鎮め、心を集中し安定させ、真理を深く考えることです。禅定の「禅」とは「静かな心」、「不動の心」という意味があり、「定」というのは心が落ち着いて動揺しない状態のことを言います。
⑤地蔵菩薩【じぞうぼさつ】:五七日
「痛みや苦しみを肩代わりし、人々を救済する菩薩様」
大きな慈悲の心で人々を包み込んで救うといわれている、「お地蔵さま」の名で有名な菩薩様です。閻魔大王の化身であるともいわれ、この世で一度でも地蔵菩薩に手を合わせると人々の身代わりとなって地獄の苦しみから救うとされています。
また他の仏様とは違い、人道など六道を直に巡って救済を行うとされ、墓地にはよく6体の地蔵が祀られています。これは六道のいずれかに転生しているご先祖様や故人を導いてもらうために、それぞれ1体ずつが各世界を担当して見守っているからといわれています。
六道とは?
人間の善悪のおこないによって行きめぐる六つの世界のこと。地獄・餓鬼(がき)・畜生(ちくしょう)・修羅(しゅら)・人間・天上の6つの世界からなる。
また、この六道を迷い続けることを六道輪廻と呼びます。
⑥弥勒菩薩【みろくぼさつ】:六七日
「遠い未来に人々を救うことが約束されている釈迦を継ぐとされる菩薩様」
弥勒とは、「慈悲から生まれた者」を意味しています、また、弥勒菩薩は仏となることを約束されているため、弥勒仏・弥勒如来と呼ばれることもあります。
釈迦が亡くなってから56億7千万年後に仏となりこの世に現れ、釈迦の教えで救われなかった人々を救済するといわれています。現在は仏教世界の中央にそびえる須弥山(しゅみせん)の上空にある兜率天(とそつてん)という天界で修行をしています。
容姿は右足を曲げて左膝の上に乗せ、右手の指を頬に当てて物思いにふけるような姿が多く、これは将来どのようにして人々を救えばよいか思い悩んでいる姿とされています。
⑦薬師如来【やくしにょらい】:七七日
「現世にやすらぎを与え、病気を治すとされる仏様」
病気を治して衣食住を満たすという「薬師如来の十二の大願」を立て、人が生きている間に願いを叶えてくれます。死んだ後にやすらぎを与えるのではなく、現世にやすらぎを与えてくれるといわれる仏様です。
容姿の特徴として、薬壺を左手に持っており、右手の薬指を前に出しています。奈良時代までの造形は薬壺を持たない場合が多く、釈迦如来と区別がつきにくかったそうです。
⑧観音菩薩【かんのんぼさつ】:百か日
「世の中を常に観ていて、人々を救済してくれる菩薩様」
観音菩薩は如来になるために修行中の身で、世の中のありとあらゆる人を救うために様々な姿に変身します。 人々を常に観ていて救いの声【音】があれば瞬く間に救済するという意味からこの名が付けられました。
本来の容姿は、男性の姿であったと考えられていますが、その名から美しい女性の姿の像が多く、特に日本や中国などで広く信仰を集めています。
⑨勢至菩薩【せいしぼさつ】:一周忌
「偉大な智慧の光で全てのものを照らし、迷いから人々を救う仏様」
智慧の光ですべてのものを照らし、人々を迷いや苦しみから救うとされる菩薩様です。大勢至菩薩と表記されることもあります。智慧とは物事のあり方を正しく見極める力・判断力を意味します。
また午年(うま年)の人々を守る守護本尊であり、午年に生まれた人々の開運、厄除け、祈願成就を助けるともいわれています。
⑩阿弥陀如来【あみだにょらい】:三回忌
「命あるものすべてを救うため、必ず極楽浄土へ導くとされる仏様」
限りない光(智慧)と、限りない命を持って人々を救い続けるとされている仏様です。「南無阿弥陀仏」と唱えたあらゆる人々を必ず極楽浄土へ導くといわれており、多くの人々から信仰されています。
ちなみに「他力本願」という言葉も、阿弥陀如来がおこした「四十八願の誓い」から来ており、本来は阿弥陀様にすがって極楽に行こうという意味があります。
⑪阿閃如来【あしゅくにょらい】:七回忌
「物事に動じず迷いに打ち勝つ強い心を授けてくれる仏様」
阿閃とは、「何事にも動じない」「揺るぎないもの」という意味があり、物事に動じず迷いに打ち勝つ強い心を授けるといわれる仏様です。
また、阿閃如来は人の世の「煩悩」や「汚れ」に惑わされずにすべてのものを映すとされる「大円鏡智(だいえんきょうち)」と呼ばれる鏡を具現化した仏様といわれています。
容姿の特徴として、左手は衣服の端を握り、右手は指を下に伸ばす降魔印(ごうまいん)を結んでいます。これは恐怖や誘惑に打ち勝つ強い心を表しているとされています。
⑫大日如来【だいにちにょらい】:十三回忌
「すべての生き物の根本とされる、太陽を司る仏様」
大日とは「大いなる日輪」という意味があります。そのため、大日如来とは太陽を司る仏様といわれています。密教では大日如来は宇宙の真理を現し、宇宙そのものを指します。すべての命あるものは大日如来から生まれたとされ、釈迦如来も含めて他の仏は大日如来の化身と考えられています。
本来、如来は出家後の釈迦の姿をモデルとしているため装飾品は身に付けていませんが、大日如来だけは別格で豪華な装飾品や宝冠を付けているのが大きな特徴です。また、螺髪(らほつ)ではなく、髪を結い上げています。
⑬虚空蔵菩薩【こくうぞうぼさつ】:三十三回忌
「無限の智慧と慈悲の心を人々に与える菩薩様」
虚空蔵菩薩は、智慧と福徳の仏様といわれています。また、記憶をつかさどる菩薩様でも知られ、「空暗記・そらんじる」などの言葉は虚空蔵菩薩の空から来ている言われています。
「虚空蔵」とは宇宙のような無限の智慧と慈悲の心が収まっている蔵を意味し、人々の願えを叶えるために蔵から智慧や記憶力を取り出して、人々に知識を与えてくれるとされています。
人は死後、自身の力だけでは極楽浄土に行くことは出来ません。そこで仏様に極楽浄土への道を導いてもらうのですが、「未練を残さないように」「冥界に旅立てるように」「正しく仏様の弟子になれるように」と七日ごとに導いてくれるのが十三仏です。
七七日、いわゆる四十九日目に浄土へ行けるかどうかが決まり、百日忌、一周忌から三十三回忌には涅槃に到達できるようになるといわれています。
いつ掛軸を飾るのか?
先祖供養の仏様が描かれた十三仏掛軸はお正月、お盆・お彼岸や年忌法要、亡くなられた方のご命日などにお飾りすることが多いです。お飾りされる場所については法要祭壇やお仏壇、床の間などご先祖様をお迎えする所にお祀りされると良いでしょう。
以下では、お祀りされる場所に合わせた掛軸の種類・サイズをご紹介いたします。
掛軸の大きさについて
掛軸の大きさは飾る場所により様々なサイズがあります。
※十三仏掛軸の紹介ページはこちら
床の間に飾る場合
掛け軸のサイズは、床の間の大きさである一間、半間、その中間の四尺五寸に合わせて大きさを決めます。
一般的に床の間の幅の三分の一が、掛け軸の丁度良い幅となります。長さは、1m80~90が標準サイズですが、短い横物というタイプもあります。購入される際は、自宅の床の間の大きさを測ってからにしましょう。
★床の間の大きさについて
一間・・約1.81m
四尺五寸・・約135cm
半間・・約91cm
祭壇に飾る場合
祭壇用掛け軸のサイズは、祭壇の大きさに合わせて決めます。一般的に50~150代といわれる、高さ30~60cmほどの掛け軸サイズが丁度良い大きさとなります。また、掛軸だけでは吊るすことが出来ないため、専用台も合わせて購入いただくのが良いでしょう。
従来の吊るすタイプの掛軸の他に、木の枠に入ったスタンドタイプもあります。
★掛軸のサイズについて
50代・・幅約11cm×高さ約30.3cm
100代・・幅約16.7cm×高さ約44cm
150代・・幅約24.2cm×高さ約66cm
※メーカーによってサイズ表記はやや異なる場合があります。
仏壇や手元供養として飾る場合
仏壇や手元供養台にお祀りされる掛軸を選ぶ際は、一番奥の須弥壇といわれる場所のサイズに合わせて決めます。※写真のように横に飾る場合もあります。
一般的に豆代~30代といわれる、高さ19~26cmほどの掛け軸サイズが丁度良い大きさとなります。
祭壇用と同じく、木の枠に入ったスタンドタイプもあります。
★掛軸のサイズについて
豆代・・幅約8.5cm高さ約19cm
20代・・幅約9cm×高さ約20cm
30代・・幅約10.3cm×高さ約25.8cm
※メーカーによってサイズ表記はやや異なる場合があります。
掛軸の種類にはどういったものがあるのか 【十三仏掛軸をご紹介】
「掛軸」と聞くと天井付近から吊るすタイプを想像される方が多いのではないでしょうか。しかし、最近は様々な場所にお祀りできるよう、仏具メーカーも多種多様な形の掛軸を販売しています。下記ではその一部をご紹介致します。
【商品情報】
商品名:十三仏掛軸
20代:幅9×高さ20cm
30代:幅11.5×高さ25cm
50代:幅13×高さ29cm
60代:幅15×高さ34cm
70代:幅17×高さ39cm
価格¥1,980~¥2,880税込
※シールフック付き
商品レビューはこちら
十三仏掛軸について 【まとめ】
本日は十三仏の掛軸について書かせていただきました。主にお盆の時期に飾るイメージが強いですが、お彼岸やご法要、故人様のご命日などでもお祀りいただけます。ぜひ追善供養の一つとしてお祀りしてみてください。
本記事がみなさまのお役に立てば幸いです。
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