お彼岸やお盆、法要などでお墓参りをされる方は多いと思います。
その際に気になるのが「お墓の汚れ」
長い間、雨風にさらされているとお墓は自然に汚れ、劣化していきます。そのため、掃除など定期的に適切なメンテナンスをすることが重要です。
故人様やご先祖様の魂が宿るお墓が汚れていると、とても悲しい気持ちになりますよね…
そこで本日は、墓石の掃除方法や注意点について解説していきたいと思います。
墓石掃除をするときの参考にしていただけると幸いです。
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👇以下の記事では「お墓参りのマナー」について解説しています。
お墓が汚れてしまう原因について
墓石汚れの原因は様々ありますが、主な要因は以下の2点です。
●「日々の汚れの蓄積」
●「経年変化」
これらによる汚れを長期間放置すると、墓石の見た目に悪影響を及ぼします。
以下では、それらがどのように汚れに繋がるのかご説明いたします。
日々の汚れの蓄積
ほこり、花粉、苔、カビ、鳥のフンなど、汚れの原因となるものを長い間放置してしまうと、墓石にシミや斑模様ができてしまいます。
また、大気中には目に見えない細かな汚染成分が浮遊しており、雨や湿気によって墓石の表面に付着します。水分が蒸発した後は、固化して墓石に密着浸透してしまいます。水が溜まりやすい部分に汚れが集まりますので、繋ぎ目や細かい箇所は定期的なお手入れが必要です。
こまめにお掃除することで、お墓を美しく長持ちさせることができます。
汚れにはどういった種類があるのか…
●水垢・黒ずみ
花立の周辺など水分の溜まりやすい部分や、お掃除が行き届きにくい墓石の繋ぎ目などに、大気中の細かいほこりや花粉などが溜まってできる汚れです。
●苔・カビ
風通しや陽当たりのよくない場所など、温かく湿った環境にお墓があると石に菌が付着し苔が発生しやすくなります。早い段階であれば水洗いでキレイにすることができます。
ただ、墓石の表面がツルツルに磨き上げられたものであれば、苔がつきにくく掃除で落としやすいのですが、ざらざらとした風合いの墓石ですと、表面が細かく凸凹しているため汚れやすくなります。長い間放置すると汚れが取りづらくなるので、気が付いたらすぐに掃除するようにしましょう。
●シミ
お墓参りのお酒やジュースなどのお供え物を放置したり、落葉が腐食したり、水分が染み込むことによって不純物が溜まってできる汚れです。シミには様々な原因が考えられ、原因に合わせた対処法が必要になります。
●虹彩現象(虹ヤケ)
黒系などの濃い色味の御影石にみられる、大気中の成分が付着したものが乱反射して虹色に見える現象です。
経年変化による汚れ
墓石は天然の石材でできているため、酸性雨、塩(海岸からの潮風)、排気ガスなど、お墓が建っている環境によって経年変化をしていきます。
「墓石の色味が変わる」
「艶が消えてしまう」
「雨水を吸い込んで石材中の鉄成分にサビが出る」
などの変化が起こります。
墓石の種類によって変化の速度に違いがありますが、基本的にすべての石は経年変化をしていきます。
ただ、寺院の石灯籠や、神社のお稲荷様をイメージしていただけると分かりやすいと思いますが、変化の具合によっては長い年月を感じさせる風合いや侘び寂びにもなります。
経年変化は一概に悪いものとは言えません。
経年変化は汚れではありませんので、お掃除によってキレイにするというものではありません。墓石の艶落ちや日焼けなどが気になる場合は、プロの手によって石の表面を磨き直すことで新品のような美しさを甦らせることもできます。
お墓掃除のポイントを解説
お墓の掃除では墓石そのものだけでなく外構や区画内の清掃、墓誌や塔婆立てなどのメンテナンスも一緒に行いましょう。
ただし、墓地の大きさによっては、1時間以上かかることもあるので、掃除をおこなう際はしっかりと準備して、事前に段取りを決めておきましょう。
以下では、お墓掃除の基本的な流れやポイント5つご紹介いたします。
●お墓掃除・5つのポイント
①お墓のある区画の清掃
②墓石の水洗い
③墓石を洗剤で洗う
④小物類を洗う
⑤水を拭き取る
1. お墓のある区画の清掃
お墓のある区画では、落ち葉や雑草の除去・植木の剪定・玉砂利の水洗い(汚れている場合)をおこないます。
2. 墓石の水洗い
墓石を水洗いする際は、スポンジまたはタオルに水を含ませて洗います。
墓石の種類によっては、毛先のやわらかいブラシも使用可能です。コケがついていれば取り除きましょう。
また、塔婆立てや墓誌なども一緒に水洗いしておきましょう。
3. 墓石を洗剤で洗う
水洗いだけで汚れが落ちない場合は、石材用の洗剤を使用します。
「塩素系」「酸性系」など、墓石専用の洗剤以外を使用してしまうと、染みや変色の原因となるので使わないように注意しましょう。
洗剤の使用は慎重に…
石の表面はツルツルしていますが、「細孔」という目に見えないごく小さな隙間があります。そこから洗剤を内部に吸い込んで変色の原因になってしまう場合があります。
ホームセンター等に墓石用の洗剤も販売されていますが、汚れの種類や石材の種類によって適する洗剤が異なります。使用前には必ず商品記載の注意書きをしっかり読んでから使用しましょう。
どうしてもわからない場合は、水洗いだけにしておいたほうが無難です。
4. 小物類を洗う
花筒や線香皿など、中身を取り出してきれいにします。
5. 水を拭き取る
乾いたタオルでお墓に残った水気を拭き取ります。強く擦ると表面を傷めてしまう場合もあるので、優しく拭き取るようにしましょう。
お墓掃除の注意点
お墓掃除をする際は、以下の2点について注意しましょう。
汚れを早めに落とすことが重要
お墓をキレイに保つには、汚れを長期間放置しないことが大切です。水洗いで落とせるうちにキレイにするようにしましょう。
大掛かりな掃除は自己流でやらない
墓石に使用されている石材は様々な種類があり、風合いや特徴、成分などそれぞれ異なります。洗剤の種類や道具の使い方を誤ると、墓石にシミやキズをつくってしまいます。
場合によっては、取り返しがつかなくなることもあるので、自分だけの判断で行わないようにしましょう。
どうしても気になる汚れがある場合は、家族や墓石掃除のプロに相談をしてどうするか決めるようにしましょう。
お墓掃除に必要な道具について
墓地は、利便性の高い場所にあるとは限りません。現地到着後にお手入れ道具を忘れて後悔しないよう、以下ではお墓の掃除で用意しておくと役立つ道具をご紹介します。
●ごみや落ち葉拾い・雑草の除去などの周辺環境の掃除に必要な用具
・スコップ
・鎌
・剪定用のハサミ
・玉砂利洗浄用のザル
・ほうき
・ちりとり
・作業用手袋
・ごみ袋 など
●墓石や墓誌などの掃除に役立つ用具
・歯ブラシ
・スポンジ
・墓石用洗剤
・雑巾またはタオル
・バケツ
・タワシ(金属はNG/毛先が柔らかいものを用意する)
他に必要なものは?
夏場であれば虫除けスプレーや日焼け止め、熱中症対策に帽子や飲物も持参しましょう。
冬場の場合は、冷たい水で手がかじかまないようにゴム手袋があると便利です。
道具使用の注意点
・墓地に備えられている手桶も水を運ぶ際に使用できますが、この桶の中で汚れた雑巾やタオルを洗うのはマナー違反です。
・墓石によってはコーティングが施されています。歯ブラシやタワシは、強く擦り付けることでコーティング剥がれを起こすことがあります。それらは優しく使用するよう心がけましょう。
メラニンスポンジの使用について
メラニンスポンジは、ツルツルとした墓石の掃除の仕上げとして使用する分には問題ありません。
ただし、スポンジに付着した砂を墓石に擦り付けてキズを付けてしまう場合もあります。使用される前に、付着物がないか確認しましょう。
一方で、表面がザラザラしているタイプの墓石だと、メラニンスポンジ自体ががポロポロと削れてしまいます。そういった場合は使用を控えましょう。
墓石の文字部分やコケの落とし方
お墓の掃除では「コケの除去」や「細かい部分の汚れ落とし」が特に難しいです。また、コーティングの施されていない昔ながらの墓石や、湿り気があり風通しの悪い部分は、コケの発生する頻度も高いと言われています。
以下では墓石を痛めることのないように、コケや細かい部分の汚れの落とし方についてご説明いたします。
コケや汚れは柔らかいブラシで除去するのがおすすめ!
雑巾やタオルで汚れが落ちない場合は、毛先の柔らかいブラシがおすすめです。また、墓石を囲む外構に広範囲にコケが付着しているときには、柄のついたブラシを持っていくと労力を減らせます。
細かい部分には、歯ブラシ・割り箸・つまようじを活用しよう
名前が刻まれている部分の汚れはスペースが狭く、スポンジや雑巾などではなかなか落とせません。そういった場合は歯ブラシを使うと良いでしょう。
また、より細かい部分には先を丸めた割り箸やつまようじも有効です。
墓石に高圧洗浄機は使用して大丈夫?
墓石掃除には「高圧洗浄機を使えば楽なのでないか」と考える方もいらっしゃるでしょう。しかし、墓地で電源や水源を確保することが難しいという問題が多いです。
また、水圧が強すぎて、掃除をするつもりが墓石にダメージを与えてしまうことも考えられます。高圧洗浄機を使用できればお手入れも便利ですが、使用前には墓石や周りの環境を考え慎重に決めましょう。
お墓掃除を業者に依頼する場合
お墓掃除の代行を専門とした業者もあります。忙しくてお墓参りに行けない場合は、こういった代行サービスに依頼するのもひとつの方法です。
代行サービスの利用料金は業者によって異なり、約1万5,000円~2万円前後であることが多いようです。お墓が大きかったり、追加の作業が必要になったりといった場合には追加料金が発生することもあります。価格によるトラブルを避けるためにも、金額ついては事前に確認をとっておきましょう。
お掃除の代行業者の他に、お墓クリーニングを専門とした業者もあります。自分では落とせない汚れなどを落としたい場合に活用できます。料金は一般的なサイズで4万円程度とお費用はかかりますが、見違えるほどきれいになります。
代行サービスを利用して、定期的にプロの手を借りてみてはいかがでしょうか。
普段のお墓掃除が楽になるコーティングが人気
プロによるクリーニングの仕上げにはセラミックコーティングという方法があります。これは紫外線や土ぼこり、鳥のフンなどの汚れから墓石を保護し、汚れがつきにくく、落としやすい防汚効果があります。普段のお掃除がとても簡単になるため大変人気があります。
雑草対策!除草シートや除草剤の使用について
お墓では墓石の掃除だけでなく、周辺の雑草除去もすることになるでしょう。区画の広さにもよりますが、腰を下ろしてする草むしりは時間もかかります。
そこで除草シートや除草剤の使用はどうなのか、ポイントについて解説します。
除草シートに玉砂利を敷く
雑草を取り除いた後、除草シートを敷いておくと数年は雑草が生えてくるのを抑えることができます。除草シートは、ホームセンターなどで購入が可能です。5年~10年ごとに敷き替えは必要になるかもしれませんが、墓石周りの掃除の負担は軽減できるでしょう。
ただし、除草シートを敷いただけでは見栄えがよくないため、その上に玉砂利を敷くことが一般的です。除草シートや玉砂利の処理を自分でするのが難しい場合には、石材店や造園土木業者にお願いするのも方法のひとつです。
除草剤は使わないほうがいいの?
結論からお伝えすると、お墓掃除において除草剤の使用は避けるのが賢明です。それは、石材に染みや変色をもたらすことがあるためです。
特に他家のお墓が隣接している場合は、これらのお墓や植栽などにも影響を与えることがあり、トラブル発生の要因にもなりかねませんので使用は控えましょう。
お墓掃除で気を付けることやマナーについて
お墓掃除には、気を付けておきたい点やマナーがいくつかあります。よかれと思ってしたことが、かえって墓石によくなかったということもあり得るでしょう。
また、多くの墓地は公共の場なので、周囲への配慮も大切です。自身の墓地だけでなく、周囲の方々および他家のお墓にも失礼のない掃除をこころがけましょう。
タワシの使用方法
雑巾やスポンジで落ちない頑固な汚れには、タワシを使ってこすることになると思います。しかし、金属製のタワシはNGで、一般的なタワシであっても強くこするのは墓石にとってよくありません。
墓石は表面をコーティングされていることが多く、タワシで強くこするとそのコーティングが剥がれたり、金属タワシであれば石にまで傷が入ったりすることがあります。それによって金属が付着した場合はサビの原因にもなるため、タワシの取り扱いには注意しましょう。
お湯は使用しない
食器洗いや衣類の洗濯などではお湯のほうが、よく汚れが落ちまが、これは墓石掃除でも通ずるものがあります。しかし、熱湯に近い温度のお湯をかけるのは、急激な温度変化によってヒビ割れの原因になることもあるので避けたほうがよいでしょう。
お供え物は持って帰る
お供え物は掃除を行った後におこないますが、帰るときには回収するようにしましょう。
放置されたお供え物は、鳥などが食べ散らかしたり、お墓が汚れたりする原因にもなります。衛生的にもよくないので、お供え物は必ず持って帰るようにしましょう。
また、お酒やビールなどの缶をそのまま供える方もおりますが、缶のサビが石に付着することもあるため、同じく持ち帰るのがマナーです。
お墓のお手入れについて【まとめ】
お墓は数十年~百年と、長い年月使い続けるものです。汚れを蓄積させてしまわないよう定期的にお掃除をすることが大切です。
しかし日々の暮らしを慌ただしく過ごしていると、こまめにお墓掃除に足を運ぶのはなかなか難しいことです。核家族化が進み、世帯人数が少なくなってきている現代では、昔に比べてお墓のお掃除や管理を少人数で行うケースが増えています。
一人でお墓の管理をするのは大変です。家族で掃除を分担したり、プロの墓石クリーニングサービスを利用するなど、折り合いをつけながら、長くお墓を守っていきましょう。
本記事は以上となります。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
👇以下の記事では、お墓の引越し「改葬」について解説しています。
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