お線香の歴史を知ろう。【お線香を焚く意味とは?お線香の製造方法は?ご説明いたします!】

凛Rin堂 お線香について 基礎知識

お墓やお仏壇のお供えに欠かせないものは何でしょうか?それは「お線香」です。

毎日の供養で使われている方も多いと思いますが、意外にその歴史や意味まではご存じないのではないでしょうか。

そこで本日はお線香についての
「お線香の歴史」
「お線香の製造方法」
「お線香を焚く意味」
を詳しく解説していきたいと思います。

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投稿者のプロフィール

名前:Aki
年齢:40代
出身:東京都
仕事:仏壇店勤務(勤続15年ほど)
趣味:似顔絵書き
好きな物:きりん、梨
当ブログ「凛Rin堂」管理人。
二児の父親です

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👇以下の記事では、「ご家庭用のお線香の選び方」について解説しております。

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お線香はいつできたのか? 【日本産お線香の歴史について】

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お香の歴史は古く、5000年前の古代エジプト文明から使われていたそうです。しかし、お香の種類の一つであるお線香の歴史はよくわかっていないことが多く、まだ定説がありません。記録をたどっていくと、室町から安土桃山時代の頃に、線香が贈答品として用いられていたという記録が残っています。

Aki
Aki

当時のお線香は、中国から輸入されたもので竹芯香(細い竹ひごに線香の生地を塗り固めたもの)であるといわれています。

日本でお線香が作られたのは、1667年に福州出身の五島一官という人物が長崎で線香を作り始めたという記録があります。ただ、これは竹芯香であった可能性が高いでしょう。今と同じような竹芯を使わない線香(杉線香や椨線香)などが作られたのは、江戸時代中期の18世紀前半ではないかと思われます。

その時代は経済の急成長により、貨幣経済が農村まにまで浸透した時期で、商品作物の栽培も盛んになりました。そういった経済の後押しもあり、日本産の線香が生まれたのです。

お線香はどうやって作られるの?

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線香は、材料をこねる時間が変わるだけで燃焼時間が変わってしまうほど、大変繊細でデリケートな商品です。完成までの工程も多く、機械に手助けしてもらいながらも、手作りといっていいほど、人の手がかかっています。

以下では、お線香はどうやって作られているのか、詳しく解説していきます。

①製粉

線香づくりは、天然の原料を粉にするところから始まります。沈香や白檀、漢薬香料、椨紛等を粉末にして十分に撹拌します

②調合

何種類もの香料、染料の原料や椨紛を各社独自の処方により、一定量ずつ調合します。この調合割合によって、香りに違いが出ます

③混合ふるい

調合された原料を混合機で均一化させ、更にふるいにかけ不純物を取り除きます。よい状態でこねられるように前段階の作業を確実に行います。

④こね(練りともいう)

原料にお湯を入れて混合機でこねて粘土状にします。こね具合は最終的に職人が判断して調節します。これを枕状に仕上げたものを「玉」と呼びます。

※ここで調整を間違えると、冒頭でお話しした燃焼時間に狂いが出てしまいます。

⑤押出機

「玉」を押出機に入れて、油圧で線香状に押し出されます。やわらかいお線香を盆板に受けて一定の寸法に次々とカットしていきます。ここでも、繊細な職人技が必要です。

⑥生(並べともいう)

盆板の線香を乾燥板に移しかえながら、曲がりものを省き、まっすぐに整え並べ送ります。

⑦胴切

生付けしたものを用途別の寸法に手押し回転カッターにて切り揃えます。ここも機械ではなく、職人が行います。

⑧乾燥

線香の乾燥は自然乾燥が最適です。夏場で数日、冬場は10日以上を要します。触ってパチパチ音が鳴ったら束ねても大丈夫です。

⑨板寄せ

生乾きの線香のすきまをふさぎ、曲がりを防ぎます。その際、微妙な曲がりをチェックします。

⑩結束

繊細で折れやすい線香を1本1本確かめながら、一定の重量を計量して細い紙で結束していきます。これによって曲がりを防ぐことができます。

⑪包装

正確に手早く1本ずつ検品しながら、包装・箱詰します。

お線香の香り・煙が出る仕組み

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線香は火のついている部分から煙や香りが出ていると、勘違いされている方が多いのではないでしょうか。線香の火種は下の部分を炭化させながら燃え進んでいきます。実は煙が出ているのは、この炭化している部分の下からになります。

炭化というのは「炭になる」ということなので、炭になった黒い部分に煙になる成分はもうないのです。それほどの高温になりますと、当然、香りの成分も燃えてなくなってしまいます。

香りは、煙よりも下のまだ黒くなっていない部分から出ています。下へと伝わってきた熱で温められ、香り成分を発散します。つまり、煙が香っているわけではないのです。

Aki
Aki

香りは目で見えませんが、お線香を焚いたときにじっくり観察してみると面白いですよ。

お線香の煙 【多いもの少ないものがあるのはなぜ?】

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江戸時代の頃の線香は、大きく分けて匂い線香(椨線香)と杉線香に分けられます。匂い線香はその名の通り良い香りのするもので、高価な香料を使用しているので、お茶の席や寺院などで使われています。

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杉線香は、山にたくさん生えている杉の葉が主な原料で香料は使いません。現在では主に、お墓参り用に使われています

他にもお寺の本堂の前にある常香炉(じょうこうろ)で、参拝客が煙を浴びて無病息災を願っているのを見たことがありませんか?あれも杉線香です。

仏事においては煙にもきちんとした意味があるのですが、最近では煙の少ないお線香も販売しています。いろいろな事情で煙の少ない線香が欲しい方、どうしても煙が苦手な方のために、炭をベースにした煙の少ない線香が開発されています。

👇以下の記事では、煙や香りにアレルギーのある方でも使いやすい「微煙・無香料」のお線香をご紹介しております。

仏事と線香の関係性

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日本が大家族だった頃の家庭では、仏様を祀り、祖先や亡くなった家族を供養するために、家に仏壇があるのが当たり前でした。朝・夕・ろうそくを灯して線香・焼香を焚いて手を合わせることが、日常だったのです。しかし、現代は核家族化が進んだことで仏事やしきたりに接する機械が減り、親しい身内が亡くなって初めて、故人をご供養するやり方を知るという方が多くなってきました。

ここでは、そんな供養に欠かせない「お線香」と仏事にはどういった関係性があるのか、詳しく解説していきます。

仏教とお香

インドはお香の原料の産地として有名です。身近に香りのよい香料がたくさんあるわけですから、死者を火葬にするときには薪とともに香料を一緒に燃やすのが、古来からの伝統的な埋葬法でした。死体は汚れた忌むべきものであり、香料の香りによって浄化するのです。

そんなインドで仏教は生まれたため、場を浄めるために「焼香」するという考え方は、仏教の一番最初から取り入れられています。お釈迦様の言葉を記録したとされる仏教初期の仏典『長阿含経』(きょうあごんきょう)や『増一阿含経』(ぞういつあごんきょう)には、「お釈迦様の説法を聞くときには綺麗にして水をまき、焼香しなさい」、「仏像などを供養するときには焼香して明かりを灯しなさい」とあります。これは今、お墓や仏壇の前で行っている供養方法とほとんど一緒です。

お釈迦様が生きていたのは、2500年前といわれています。その当時、インドで生まれたお焼香というやり方が、日本に伝わってくる間に変わることなく続いているのは、とても不思議な気がします。

お線香の煙にはどういった意味があるの?

先ほど、「お線香の煙にもきちんとした意味がある」とお伝えしましたが、その一つに「仏様の食事」という意味があります。

お線香の香りは、仏様に捧げる供物であり、穢れを祓い場を浄める意味がありますが、それは供養する側、生きている人にとっての意味です。仏教も宗派によって考え方が少し違いますが、亡くなった人にとって逝去してから忌明けまで、食べられるものは香りや「煙」だけといわれています。亡くなった人にとって、香りや煙はごちそうなのです。そのため、忌明けまでは香煙を絶やさないようにするのが良いとされています。

では、「忌明け以降はお線香を焚かなくてもいいのか」というと、そうではありません。忌明けというのは、亡くなった人があの世にいってしまったということですが、あの世にいてもこちらの声は聞こえ、香りや煙も届くそうです。それに仏壇にはお寺のご本尊と同じ仏様が祀られています。その仏様に対してお参りするのが本来のお勤め=勤行(ごんぎょう)です。仏様のためにも是非良い香りの線香を焚いてください。

Aki
Aki

余談ではありますが、仏壇にお供えする食べ物も、仏様にその「香り」を差し上げているのです。

お線香はいつ焚くの?

お葬式や忌明け、法事の時にお線香を焚きますが、そういった仏事以外で線香を焚かなければならない日をご説明します。

お寺では毎日、朝夕に勤行(仏前で読経・念仏を唱えて回向すること)いたしますし、仏壇のある家庭では、朝に花の水を替え、ごはんとお茶をあげて、ろうそくを灯してお線香も焚きます

ただ、今はいろいろな事情で、毎日の勤行や供養を続けられないご家庭もたくさんあります。毎日できない分、お坊さんがお参りにいらっしゃる月命日、お盆やお彼岸、いただき物をお供えするときや特別な日は、しっかりとお参りしてください。

Aki
Aki

他にも決められた日でなくていいので、時々、故人を思い出して線香を焚きながら話しかけてあげることが、一番のご供養に繋がると思います。

宗派によって線香の焚き方に違いはあるの?

日本の仏教は大きく分けて、天台宗・真言宗・浄土宗・浄土真宗本願寺派、大谷派・臨済宗・曹洞宗・日蓮宗・日蓮正宗などがあり、これらの宗派も実際にはもっと細かく分かれています。

その上、同じ宗派であっても、地域によって、またはお寺によってしきたりや作法が違うことがあります。全国的にだいたい同じなのは、浄土真宗は線香を寝かせて焚くというくらいで、宗派ごとの統一見解を出すのはとても難しいです。

どうしても確認したい場合には、菩提寺のお坊さんに尋ねてみるのがいいでしょう。

Aki
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菩提寺がない場合は、その地域の仏壇店やお香の専門店の方や、お通夜やご葬儀に参列されるのでしたら葬儀会社の方に伺うのがいいでしょう。

お線香の基本について 【まとめ】

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ご家庭で日常的に使われている「お線香」ですが、深掘りしていくと歴史があり、供養のためには欠かせないものだと気づかされました。

現在は、さまざまなお線香が販売されています。使い慣れたお線香もいいですが、たまにはご先祖様のことを想い、普段とは違う香りを選んでみるのもいいのではないでしょうか。

本日は、
お線香の歴史
お線香の製造工程
香り・煙が出る仕組み
仏事と線香の関係性
について解説してみました。

この記事がみなさまのお役に立てれば幸いです。

👇以下では、お線香に関連した記事を「まとめ」ています。ご活用ください。

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