お葬儀の際に必要な「戒名(かいみょう)」
仏の世界(あの世)における故人様の新しいお名前を指しますが、宗派によって「使用される文字や意味」など様々です。
最近は若い方の仏教離れもあり、戒名の必要性も薄れてきてしまっているのが現実としてあります。仏教は古くからある日本の伝統文化ですし、そのような状況は少し寂しいですね💦
そこで本日は、日本仏教には欠かせない「戒名」についてご紹介したいと思います。
お位牌を作る際にも必要になる知識ですので、本記事が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
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👇お位牌の作成方法については、こちらの記事をご参考にしてください。
戒名について
仏教のお葬儀やお位牌の作成に欠かせない「戒名」ですが、その意味や歴史についてはあまり知られていません。また、宗派によって基本的な戒名の考え方にも違いがあります。
以下では・・
「戒名の基本的な考え方」と「その必要性」
について解説していきたいと思います。
戒名の意味とは?
「戒名(かいみょう)」とは、仏の世界(あの世)における故人様の新しいお名前のことです。
「戒」は「戒め(いましめ)」という意味があり、仏教修行の上で守るべき戒律のことを指します。つまり戒名は、仏教の教えを学び、この戒律を守ることを約束した証(仏様の弟子となった証)として与えられる名前なのです。
また、戒名には生前に果たした功績が反映されることも多く、死後に与えられる「勲章」としての意味もあります。
もともと戒名とは、出家した僧侶や信者が生前に与えられるのが一般的でした。ただ、現在は出家していない一般の方でも授かることができ、ご逝去後に授かるのが日常的となりました。
戒名を授かった後は「位牌(いはい)」と呼ばれる木の札板に記され、葬儀や仏壇でのご供養などで末長く用いられます。
生前に戒名を授かることを、「生前戒名(せいぜんかいみょう)」と呼びます。
戒名の歴史について
日本で最初に戒名を授かったのは、奈良時代の聖武天皇と言われています。
その際授かった戒名は「勝満」で、2文字のみと極めてシンプルなものでした。
現代のような「死後戒名を授かる形」になった背景の1つには、「幼名」「成人名」「襲名」など、人生の節目ごとに改名をおこなう日本独自の文化があると言われています。この文化の延長線上で、死後の名前と戒名が結びついたと考えられます。
また、この戒名という慣習が庶民にまで浸透したのは、江戸時代の「寺請制度(てらうけせいど)」が関係しているといわれており、「檀家である証として死後に戒名を授かることが義務化された」のが理由とされています。
インドや中国といった仏教が主である国の中では「死後に戒名を授かる慣習は無く」これは「日本独自の習慣であり文化」だと言えます。
宗派によっては戒名と呼ばない?宗派による違いについて
ほとんどの宗派では「戒名」を授かるのが一般的ですが、一部では使用しない宗派もあります。以下ではその宗派をご紹介致します。
浄土真宗…法名(ほうみょう)
浄土真宗では戒律が存在しないため、仏弟子の証となる戒名は存在しません。その代わりに仏様の教えを守って生きていく誓いとして「法名」が授けられます。
また、浄土真宗においては「阿弥陀様を信じれば死後すぐに極楽浄土に至ることができる」との考えから、他の宗派のように死後の冥福を祈る慣習も基本的にありません。
そのため、霊魂という考え方が無くお位牌を用いた供養をおこなわないのが特徴です。
授かった法名は「法名軸」や「過去帳」といった仏具に記載し、お位牌の代わりとして仏壇にお祀りするののが一般的です。
日蓮宗…法号(ほうごう)
日蓮宗では、お釈迦様が説かれた教えである「法華経(ほけきょう)」を大切にしていることから、戒名ではなく「法号」または「日号(にちごう)」と呼ばれています。
意味合い自体は戒名と同様で、仏教の戒律を守って生きていく証として授けます。
ご自身がどの宗派なのか確認しておくと、いざという時に安心ですよ。
戒名の構成について
ここでは、戒名の「構成やランク」について詳しく解説いたします。ランク別の一覧も掲載しておりますので、ぜひ参考になさってください。
戒名を構成する4つの要素
一般的に「戒名」と言うと、お位牌に書かれている文字全体のことを指していると思われがちですが「本来の戒名は2文字のみ」です。他の部分は4つの「号」が組み合わさって、最終的に1つの名前(6~10文字程度の漢字)となります。
また、戒名にはランクが存在しますが、実際には「院号(いんごう)」・「位号(いごう)」の2つに対してのみランクがあり、それ以外の「道号(どうごう)」・「戒名(かいみょう)」については上下の差はありません。
★戒名を構成する4つの要素
①院号(いんごう)/院殿号(いんでんごう)
②道号(どうごう)
③戒名(かいみょう)
④位号(いごう)
①院号(いんごう)/院殿号(いんでんごう)
院号・院殿号は、戒名の一番上に付く位で、院号は「〇〇院」(3文字)、院殿号は「〇〇院殿」(2文字)の形で表記されます。
元々は身分の高い方にのみ授けられていたもので、生前に「お寺や宗派に対して大きく貢献された方」「社会的貢献度が高かった方」などの限られた方のみに付けられていました。
本来はそのような方に授けられていた「院号/院殿号」も、のちに公家や武士などの間にも広く使用されるようになり、江戸時代では、金銭で院号を買えるようになりました。
幕府から禁止令が出たこともありましたが、その前に用いられたものは「そのまま使ってよい」とされたそうです。明治時代以降になると、院号/院殿号は、富豪・政治家のあいだでも使われるようになりました。
「院殿号」は、元は院号の次に高い位でしたが、江戸時代以降に実質上の権力者が院殿号を用いたことから、現在は院号よりも格上の号とされています。
②道号(どうごう)
道号は、悟りを開いた僧侶に対して与えられる称号(2文字)とされています。院号や院殿号がない場合は戒名の一番上に付きます。ただ「水子や幼児・未成年の方」や「宗派が浄土真宗の場合」には基本的に付けることはありません。
現代では故人様の、人柄や趣味、場所や地域名、住居を表す文字などにちなんで付けられるのが一般的で、主にその方の人となりを表す部分として用いられます。
★道号によく用いられる文字
人柄や趣味を表す文字…「光」「翁」「老」など
場所や地域、物を表す文字…「海」「山」「雲」「月」など
住居を表す文字…「宅」「殿」など
★道号で避けた方がよい漢字
道号で避けた方が良い漢字は「悪いイメージや死因」「動物を連想させる漢字」です。
例えば、事故や自死を連想させる「海・橋・断・道」や、病名のがんの響きを連想させる「岩・巖・眼」などが挙げられます。
動物のイメージとしては「犬・猫・猿」などが挙げられますが、縁起の良い漢字の「龍・辰・鶴・亀・鳳・凰」は使用しても構わないとされています。
一見良さそうに見えたとしても、読み方によっては良くない意味に捉えられかねない漢字(照富/しょうふ、阿宝/あほうなど)も使用は控えられているようです。
③戒名(かいみょう)
戒名は、浄土の世界における仏弟子としての新しい名前(2文字)のことを指します。
お位牌や墓石に刻まれる文字全体を戒名と呼ぶ場合もありますが、本来は「道号と位号の間の2文字」のことを指します。
★一般的には、以下のような文字が戒名でよく用いられます。
【戒名によく用いられる文字】
①俗名(生前の名前)から取った文字
②仏様の名前や経典から取った文字
③先祖代々受け継いでいる特定の文字
④故人様が尊敬していた方に関連する文字
⑤生前就いていた職業を連想させる文字
★避けるべき文字・使用しない文字
戒名にはどんな文字でも使っていいという訳ではなく、「三除の法」や「二箇の大事」と呼ばれるルールがあります。
【三除の法】
奇怪で難しい文字
漢文の置き字や助字として用いられる文字…「也」「於」「乃」など
不穏な意味がある文字…「死」「病」「狂」「争」など
【二箇の大事(にかのだいじ)】
各宗派の開祖や、歴代天皇の尊号や年号などの文字…「昭和」「平成」「日蓮」「道元」など
動物を表す文字…「犬」「猫」「猿」「馬」など
※「亀」「鶴」「龍」「鹿」などの、吉兆とされる動物の場合は使用可能です。
④位号(いごう)
位号は、戒名の一番下に付く位で、現代で言う「〇〇様」といった敬称を意味しています。(主に2文字~4文字)
故人様の社会的な貢献度などによって授かる位(ランク)が異なり、そこからさらに性別などによって名称が分かれます。
また、年齢によっても異なり、まだ社会的貢献ができない水子や幼児、未成年者には年齢に応じて位が付けられるという特徴があります。
★位号に用いられる文字は以下の通りです。(上から順に、高位~一般的な位)
子供の場合
(4~5歳以下)
【男性】
幼児(ようじ)
嬰児(えいじ)
孩児(がいじ)
水子(すいし)
【女性】
幼女(ようにょ)
嬰女(えいにょ)
孩女(がいにょ)
水子(すいし)
子供の場合
(15歳位まで)
【男性】
大童子(だいどうし)
禅童子(ぜんどうし)
童子(どうし)
【女性】
大童女(だいどうにょ)
禅童女(ぜんどうにょ)
童女(どうにょ)
成人の場合
【男性】
大居士(だいこじ)
居士(こじ)
大禅定門(だいぜんじょうもん)
禅定門(ぜんじょうもん)
清信士(せいしんじ)
信士(しんじ)
【女性】
清大姉(せいたいし)
大姉(たいし)
大禅定尼(だいぜんじょうに)
禅定尼(ぜんじょうに)
清信女(せいしんにょ)
信女(しんにょ)
位号をランク別に解説
位号のランク別に「それぞれどういった方に対して」「どんな意味で付けられる位なのか」以下で解説いたします。
●居士(こじ)・大姉(たいし)
「居士(こじ)」は男性、「大姉(たいし)」は女性に対して授けられます。人々から尊敬されるような信仰心の厚い信者の方に対して付けられる位です。
上に院殿号が付く場合には、これより一段上位であることを表して、それぞれ「大居士(だいこじ)」・「清大姉(せいだいし)」とする場合もあります。
●禅定門(ぜんじょうもん)・禅定尼(ぜんじょうに)
「禅定門(ぜんじょうもん)」は男性、「禅定尼(ぜんじょうに)」は女性に対して授けられます。
仏門に入って剃髪(ていはつ)した男女の呼び名が由来しており、位号においては戒律を守って修行に励む男女のことを指します。
●信士(しんじ)・信女(しんにょ)
「信士(しんじ)」は男性、「信女(しんにょ)」は女性に対して授けられます。
インドにおける、出家していない仏教信者の呼称(男性はウバソク、女性はウバイ)を訳したもので、仏様の教えを信じて清らかな生活をした方に対して付けられます。
戒名に「ランク」がある理由は?
一説には、後世に残っていく戒名の中に故人様の功績が分かる高い位号を含めることで、後々お墓を守っていく子孫たちにご先祖様の存在価値を示すためとも言われています。
宗派による戒名の違いについて
戒名は、基本的な構成は同じでも、宗派によって使用する文字や文字数などのルールに違いがあります。
また、宗派によっては「梵字(ぼんじ)」と呼ばれる宗派特有の文字が用いられる場合もあります。
以下では、宗派別に戒名の基本構成を解説いたします。
「梵字(ぼんじ)」・「冠字(かんむりじ)」とは?
戒名をお位牌に刻む際には、戒名の一番上に「梵字(ぼんじ)」や「冠字(かんむりじ)」と呼ばれる各宗派のご本尊(信仰の対象)や菩薩を表す文字を入れることがあります。
【一般的な宗派別の梵字】
●天台宗
天台宗では「ア」や「キリーク」の梵字が用いられます。
「ア」は大日如来、「キリーク」は阿弥陀如来を表します。お寺の本尊によって梵字も異なりますので、お寺に確認したり、白木位牌、先祖の位牌を確認して判断しましょう。
●真言宗
真言宗では大日如来を表す「ア」の梵字が用いられます。
阿字より出て阿字に還帰するという真言密教の根本教理を表す文字であり、戒名の主が真言宗の檀信徒として、教主大日如来の教えを受け、位を受け継いだものであることを表しています。
●浄土宗・時宗
浄土宗や時宗では阿弥陀如来を表す「キリーク」の梵字が用いられます。
また、キリークは千手観世音菩薩を表す梵字でもあり、病気治癒や息災延命などあらゆる願いが叶うというご利益を願って、お守りやペンダントに用いられることもあります。
●浄土真宗
浄土真宗では梵字を用いることはありません。その代わりに「法名」という文字を上に記すことがあり、「この下に書かれているのが法名ですよ」という”しるし”の意味があります。
お寺様によっては入れない場合もあります。
●臨済宗・曹洞宗(禅宗)
臨済宗や曹洞宗などの禅宗系の宗派では、お釈迦様を表す「バク」や「空」という冠字を入れることがあります。
「空」に関しては本位牌を作る際は外すことも多く、ほとんどの寺院でも入れる必要はないと判断されるようです。ちなみに「空」とは「真理、仏性、宇宙全体」など悟りの境地を表したものです。
●日蓮宗
日蓮宗では梵字を用いることはありません。代わりに法華経の正式な名称「妙法蓮華経」から二文字をとった「妙法」を冠字に入れます。
また、戒名を法号と呼ぶこともあり、どちらも仏教徒として名前なのですが、戒名は受戒によって授かり、法号は法華経を信仰する門徒の証として授かります。
●童子、幼児の場合
「カ」は地蔵菩薩を表す梵字です。
童子、幼児は地蔵菩薩に守られ、そのご誓願によって救われるという意味があります。
梵字は墓石に戒名を刻む際には省略することもあります。また、地域の慣習やお寺の考えによっては「書体にも決まりがある」場合もあるので、心配な方はご親戚の方や菩提寺に確認しましょう。
宗派による戒名の付け方
以下は宗派別の基本的な戒名構成の一覧です。
●天台宗
【院号+道号+戒名+位号】
天台宗では、「ア」や「キリーク」の梵字が一番上に入る場合がありますが、そのほかに特別な決まりはなく、「院号+道号+戒名+位号」の基本的な形で構成されています。
●真言宗
【院号+道号+戒名+位号】
真言宗では、皆が等しく大日如来の弟子であることを表す「ア」の梵字が一番上に入る場合があります。なお、故人様が童子、幼児の場合は、子供の守り神である地蔵菩薩を表す「カ」を使用します。
●浄土宗
【院号+誉号+戒名+位号】
浄土宗では、阿弥陀仏を表す「キリーク」と呼ばれる梵字を一番上に入れることがあります。また、道号の代わりに「誉号(よごう)」と呼ばれる「誉」の一文字が男女ともに用いられます。
※お寺によっては「誉」の漢字が旧文字となる場合もあるので、お位牌を作成の際は注意が必要です。
●時宗
【院号+阿号+戒名+位号】
時宗では、道号の代わりに、阿弥陀仏号の略称である「阿号(あごう)」が用いられます。男性の場合は「阿」の一文字、女性の場合は「弌(いち)」の文字が付きます。
時宗も浄土宗と同様に、阿弥陀仏を表す「キリーク」の梵字が一番上に入る場合があります。
●臨済宗・曹洞宗(禅宗)
【院号+道号+戒名+位号】
臨済宗・曹洞宗では、「世の中の全ての物事はみな因縁によって起こる仮のもので、実態がない」ということを意味する「空」の冠字を入れる場合があります。
●真宗大谷派(東)・浄土真宗本願寺派(西)
【院号+釋号】
浄土真宗の二派では、他の宗派とは異なり道号や位号は用いず、院号に加えて「釋号(しゃくごう)」と呼ばれる「釋」の一文字が用いられます。
男性は「釋〇〇」の3文字、女性は「釋尼〇〇」の4文字が基本で、この釋の文字は、お寺様によっては旧文字を使うなど異なる表記の漢字を使用する場合もあります。
また、女性にのみ付く「尼」の一文字は、小さくしたり右寄せにしたりご住職のお考えによって違いがあります。
真宗・浄土真宗ではお位牌自体を作らない場合が多いため、お位牌の作成をご希望の場合はまずお寺様に相談したほうが良いでしょう。
●日蓮宗
【院号+道号+法号(日号)+位号】
日蓮宗では、信徒に対して授ける名前を「法号(ほうごう)」と呼びます。法号の中には「日号(にちごう)」と呼ばれる「日」の一文字が用いられます。
男性の場合は「日」の一文字、女性の場合は「妙」の文字が付きます。
また、日蓮宗の題目である「南無妙法蓮華経」のうちの2文字を指す、「妙法(みょうほう)」の梵字が一番上に付く場合があります。
白木位牌の一番上に「新帰元(しんきげん)」と書かれている場合があります。これは「新たに亡くなった」という意味の置き字にあたりますので、本位牌や墓石に刻む際には基本的に省略します。
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戒名に関するお客様からのご質問
以下は、戒名に関するお客様から受けることの多いご質問をまとめてみました。
自身が仏教の場合は必ず戒名をもらわないといけないのか?
仏教の考えでは、故人様はあの世で仏弟子となり修行を行うに当たって戒名が必須とされています。戒名があることで、仏様に導かれ迷いなく極楽浄土に行けると考えられています。
上記の考えから「仏教形式で葬儀を行う」「お寺が運営しているお墓に納骨する」には、戒名がないとお寺から断られてしまうケースもあります。そのため、菩提寺がある方、もしくは仏教形式でご供養をおこないたい方については基本的に戒名は必須であると言えます。
また、戒名は死後の世界における名前であり、生前の名前と切り替えることで、生と死に境界を設けることができます。この行為は、受け入れがたい大切な家族の死を受け入れていく上でも非常に重要な役割を担っています。
★どんな場合なら戒名は不要なのか?
無宗教の場合、または今後は仏教形式での供養は行わないという場合には、基本的に戒名は不要です。ただ、既にお世話になっている菩提寺がある場合には、後々のトラブルを避けるためにも、ご自身で決める前に必ずお寺に相談しましょう。
戒名授与の際にお寺様へお渡しするお布施代の相場は?
実際にお寺から戒名をいただく際には、「戒名料(かいみょうりょう)」とも呼ばれる、僧侶へのお礼(お布施)が必要になります。
★以下は戒名種類別のお礼(お布施)の目安です。
信士・信女 10万円~50万円程度
居士・大姉 50万円~80万円程度
院信士・院信女 80万円以上
院居士・院大姉 100万円以上
こちらのお礼金額はあくまで目安となります。ご不安な方は金額を一人で決めず、お身内の方と相談してから決めましょう。
インターネット上の戒名授与サービスを利用するケースも・・
ネット上には、低価格で戒名を授けてくださるサービスもあります。ただ、菩提寺がある場合にはトラブルが発生する可能性もあるので、利用前には必ず菩提寺に相談するようにしましょう。
お寺の敷地内にお墓を建てている場合には、納骨を拒否されてしまうケースや、戒名の付けなおしが発生してしまうケースもあります。必ず確認しましょう。
自分で戒名を付けてはいけないの?
戒名とは、故人が仏門に入ったことの証としてつけられる名前です。一般的に菩提寺がある場合にはそこで戒名をつけてもらい、そのまま葬儀や納骨までお願いします。
そのため、菩提寺に何の相談もなしに戒名を考え、これを使って欲しいとお願いしたとしても、菩提寺の意向を無視する形となってしまうため、トラブルの原因となります。
菩提寺がある場合は、素直に戒名を授かる方が良いでしょう。
菩提寺がない、宗教にとらわれない葬儀を行うといった場合には、自作の戒名を使うことは特に問題ありません。
生前戒名を授かった場合、お位牌も生前に作っていいのか?
現代では、ご逝去されてから戒名をいただく形が主流になっていますが、生前に戒名をいただく「生前戒名」もお寺様から授かることができます。
人によっては、「生前に戒名を貰うのは死を待っているようで不吉なのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、本来は生前に授かる形が一般的でした。そのため、仏教上では特に問題ありません。
お位牌を生前に作成するのも可能です。ただ、その場合は戒名(法号)部分の2文字は朱色で入れるなどいくつかのルールがあります。作成される際は、菩提寺や販売店に確認するのが良いでしょう。
生前戒名は、自分が将来亡くなった時に供えて依頼する形が主なので、自身が納得のいく戒名を付けていただけるというメリットもあります。
戒名を後から変更することは可能?
変更可能かどうかは、戒名を授けてくださったお寺様のお考えによって異なります。どうしても変更したい場合は、お寺様に直接ご相談されるのがよいでしょう。
ただ、一般的には末尾の位号(敬称部分)についてのみ変更可能な場合が多く、故人様のお名前(戒名)・お人柄を表す部分(道号)の2つについては基本的に変更は難しい場合が多いようです。
戒名を変更すると、位牌の作り直しや墓石彫刻の彫直しが必要となるケースもあるので注意しましょう。
戒名について 【まとめ】
本日は戒名について解説させていただきました。
★この記事の内容
①戒名の意味や歴史について
②戒名の構成について
③宗派による戒名の違いについて
④戒名に関するお客様からのご質問
最近のお葬儀は「お別れ会」という形式でされる場合も多く、無宗派の方が増えてきました。そのため戒名の必要性も薄れてきてしまっているのが現状としてあります。「信仰の自由」という言葉があるように、ご家庭でそのように決めたのであれば、必ずしも仏教にこだわる必要はないと思います。
ただ、菩提寺があり、仏教の葬儀をされるのであれば「戒名」は必要です。また、それを位牌など形あるものに残し、しっかりとお祀り・供養するのが親族の務めだとも思います。
もし、「故人様の戒名は授かったけれどお位牌は無い」「白木位牌の状態でお祀りしている」方がおりましたら本位牌の作成を検討してみてはいかがでしょうか。
本日は以上となります。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
👇お位牌作成についての記事はこちら
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