春と秋の年2回訪れる日本伝統の仏教行事「お彼岸」。
ご先祖様や故人様に日々の感謝の気持ちを込めて「供養やお供え」をする大切な時期です。ただ、「お彼岸には何をお供えすればいいの?」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。
そこで本日は、「お彼岸におすすめなお供え物」をご紹介したいと思います。
本記事が、みなさまの悩み解消の手助けとなれば幸いです。
★この記事の内容
①お彼岸にお供え物をする理由
②お彼岸におすすめなお供え物について
③お供え物の相場について
④お供え物の掛け紙・表書きの種類について
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👇お彼岸の基本情報についてはこちらの記事をご覧ください。
お彼岸にお供えをする理由は?
お盆にもお供えをする習慣がありますが、お彼岸のお供えとは何が違うのでしょうか。
お盆は、彼岸(死後の世界)からいらっしゃるご先祖様の霊を家に迎え入れて供養する文化です。そのため、お盆のお供え物は帰ってきたご先祖様をおもてなしするためにご用意するものとなります。
対してお彼岸は、彼岸(死後の世界)と此岸(現世)の距離が最も近くなるとされる時期とされているため、お彼岸のお供え物はお盆と異なり、ご先祖様に日頃の感謝と敬意を示すためのものといわれています。
お彼岸のお供えには何がいいのか?
お彼岸のお供え物は、「五供(ごく)」と呼ばれる①花、②香(=線香)、③灯燭(=ろうそく)、④浄水、⑤飲食の5種類が基本となります。お供え物を選ぶ際は、この5種類を意識しながら選ぶのが良いでしょう。
また、ご自宅のお仏壇へのお供えにおいては、「お線香・お花・ローソク・お茶・お水・食べ物」が大切なお供えにあたります。お彼岸時期はご先祖様への日頃の感謝を伝えるための期間なので、いつもよりも盛大にお供えをしましょう。
『お彼岸時期の代表的なお供え物をご紹介』
①ぼた餅・おはぎ
春彼岸には「ぼた餅」、秋彼岸には「おはぎ」をお供えするします。
どちらももち米とあんこを使用した伝統的なお菓子ですが、 牡丹(ぼたん)の花が咲く春には「ぼた餅」、萩(はぎ)の花が咲く秋には「おはぎ」と呼ばれ、季節によって呼び名が変わります。
また、正式には作り方も若干異なり、「ぼた餅はこしあん」「おはぎは粒あん」を使用して作ります。
※地域によって異なる場合もございます。
現在は「ぼたもち・おはぎ」の区別はあまり明確ではなくなっているようです。
★お彼岸時期にぼた餅・おはぎを食べる理由は?
諸説ありますが、小豆の赤が邪気を払う効果があると言われています。また、昔は貴重だった砂糖を使用したお菓子であることから、小豆と砂糖を用いたぼた餅・おはぎをお供えすることで、「ご先祖様への感謝や家族円満」を祈っていたといわれています。
②お彼岸団子(おひがんだんご)
お彼岸には、「お彼岸団子」と呼ばれる白いお団子を積み重ねた物をお供えする地域もあります。
お彼岸の初日(彼岸入り)に供える団子を「入り団子」、最終日(彼岸明け)に供える団子は「明け団子」と呼ばれ、地域によって形や積み方に違いが見られるのが特徴です。
③季節の花
生花を普段からお供えしている方も多いと思いますが、お彼岸時期はより盛大にお供えするのが一般的です。お仏壇の花立が小さい場合は、別に大きい花立を用意して仏壇のそばに飾ります
また、お花を選ぶ際は「トゲや毒があったり香りが強いものは避けて」季節のお花や故人様が好んでいたお花をお供えするのが良いでしょう。
★通年でおすすめな花
・菊
・ユリ
・カーネーション
・トルコキキョウ
・ラン
★春彼岸におすすめな花
・キンセンカ
・スターチス
・マーガレット
・フリージア
★秋彼岸におすすめな花
・リンドウ
・ケイトウ
・ソリダコ
④季節の果物
お彼岸には季節の果物お供えするのが一般的です。「高杯(たかつき)」や「盛器(もりき)」といったお供え用の仏具(足が高くなっており、仏様への敬意を表すことができるもの)を使用してお供えします。
長時間のお供えでも問題ないよう、リンゴやオレンジ、メロンなどの日持ちする種類の果物がおすすめです。
⑤故人様が生前好きだった食べ物
故人様が生前好きだったお菓子や飲み物をお供えするのもおすすめです。果物と同様に、高杯や盛器に載せて仏壇にお供えします。
ただ、仏教の教えでは「肉魚などの殺生を連想させるもの」は避けた方が良いでしょう。
最近では、お寿司やお酒などをかたどったお供え用ローソクなども販売されています。
お供えローソクは腐ったりしないので、お仏壇やお墓のお供え物として最適です。贈答用としても人気があります。
⑥精進料理
肉や魚介類を使わずに作られた精進料理は、お彼岸やお盆などの特別な時にお供えする場合が多いです。
「霊供膳(りょうぐぜん・れいくぜん)」という専用のお膳を使ってお供えします。
最近はフリーズドライのお膳用精進料理も販売しています!
贈答品として他家にお供えする場合
お彼岸には、自分の家のお仏壇へのお供えだけでなく、初彼岸を迎えるご家庭や、既にお仏壇を置かれているご家庭にもお供え物をお贈りするのが通例です。
手土産として直接持参する場合と郵送する場合がありますが、いずれも「日持ちするもの、小分けにしやすいもの」が望ましいとされています。
『他家に対する定番のお供え物は?』
①進物線香・ローソク
仏教では「仏様はよい香りや煙を好んで召し上がる」という「香食(こうじき)」の考えがあります。そのため、お彼岸のお供えには「お線香」が贈答品としても一般的です。
贈答用のお線香は「進物線香(しんもつせんこう)」とも言われ、体裁の整えられた桐箱入りタイプや、お線香とローソクがセットになったものなどがあります。
②お菓子
日持ちして小分けにもしやすいことから、お彼岸にはお菓子(菓子折り)もお供え物として人気があります。
贈り先の家族構成に関わらず送りやすいため、まんじゅうや羊羹、お煎餅などの和菓子はお供えの定番品とされています。
そのほか、お子様や若い方がいる家庭へのお供えには、クッキーやマドレーヌなどの洋菓子も人気があります。
デパートなどでは、お彼岸時期になると手土産用に詰め合わせを販売している場合もあるので、そちらを利用されるのもおすすめです!
③花(フラワーギフト)
お仏壇へのお供えと同様、お花のギフトもおすすめです。
フラワーアレンジメントをお贈りするのが一般的ですが「日持ちしない」「置くスペースが無い」などの理由から、最近はプリザーブドフラワーなどの造花を贈る方も増えています。
お花を贈る場合は、先様の好みや置く場所のサイズなどが不明なことも多いです。そういった場合は「お花ギフト券」をお送りされるのが良いでしょう。
④現金(香典)
『香典(こうでん)』…お香やお花の代用として故人の霊前にお供えする金銭のこと。
お彼岸には品物の代わりにお供物料として現金(香典)をお包みしたり、品物に添える形でお金を渡す場合もあります。
現金をお渡しするのは地域性やご家庭の考えによって様々です。お包みする場合には事前に周囲の方に確認を取っておきましょう。
お墓にもお供えは必要?
お墓に対しても、基本的にはお供えは必要とされています。
お仏壇へのお供えと同様に「五供(ごく)」が基本となりますので、「お線香・お花・ローソク・お茶・お水・食べ物」などをお供えしましょう。
ただ、お墓にお供え物をする際は「墓石にシミが付いたり」「カラスに食い散らかされてしまう」のを防ぐため、お参りが終わったらお供えした物は必ず持ち帰るようにしましょう。
実家(義実家)にもお供えが必要なの?
お彼岸時期に実家に帰省する際も、お供え物は必要です。
実家だからといっても自宅用とお供えの内容に違いはありませんので、一般的に定番とされる進物線香や菓子折りを持参されると良いでしょう。
『お供えするタイミングは?』
①お仏壇にお供えする場合
彼岸入り(初日)にお供えし、彼岸明け(最終日)に下げるのが基本となります。
お供えの際は、お仏壇の前に供物机(くもつづくえ)を置き、「高杯」や「盛器」といったお供え用の仏具を使ってお供えしましょう。
※日持ちしないお供え物を用意する場合は、中日を中心にお供えください。
★下げた後のお供え物は粗末にせず、家族でいただくのがマナーです。
「一度お供えしたものを食べるのは失礼なのでは?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし仏教の世界では、お供えをいただくことは「お下がり」といい、一度仏様にお供えしたものをいただくことで、「仏様への感謝の気持ち」や「今生きていることのありがたみ」を感じられる大切なことだといわれています。
②手土産としてお供え物を持参する場合
お彼岸の期間中であれば持参するタイミングに決まりはありませんが、急に伺うのではなく、事前に連絡を入れて訪問日を相談しておきましょう。
お供えの際は紙袋から中身だけを出し、「御仏前にお供えください」などの一言を添え、表書きが先方から読める向きでお渡しします。
お彼岸時期の訪問が難しい場合には、お彼岸入りよりも前に訪問するのが丁寧です。
一般的なお彼岸のお供え相場は?
以下では、一般的なお供えの相場をご紹介いたします。
生前の関わりが深かった方に対しては、通常より高めにご用意する場合が多いですが、あまり高額すぎても相手先に気を遣わせてしまうことがありますので注意しましょう。
①一般的なお供え相場…3,000円~5,000円程度
②現金と品物を一緒にを持参する場合…総額が5,000円に収まる程度
(例えば、現金3,000円+品物2,000円程度)
③生前によくお世話になった方に対する相場…5,000円~1万円程度
④「初彼岸」の家庭に香典を渡す場合の相場…3,000円~5,000円程度
★初彼岸とは?
故人様がなくなってから初めて迎えるお彼岸のことを「初彼岸(はつひがん)」と呼びます。
一般的には、初彼岸の場合にも通常の相場(3,000円~5,000円程度)と同様で問題ありません。 ただし、自宅に僧侶を招いて「彼岸法要(ひがんほうよう)」を行うご家庭に対しては、【1万円~3万円程度】を目安に香典をお渡しするのがマナーとされています。
お彼岸のお供えにかける表書きは?
①現金(香典)の場合
現金をお供えとしてお包みする場合は、「香典袋(こうでんぶくろ)」もしくは「不祝儀袋(ぶしゅうぎふくろ)」と呼ばれる水引付きの封筒を使用します。
香典袋は、黒白または双銀結び切りの水引がついた、白無地または蓮の花が描かれた袋を選びましょう。
一般的な香典袋は中袋と外包みに分かれています。金額や連絡先は中袋に、どんな用途で贈るのかの表書きは外包みに記入します。
関西地方などの一部地域では、黄白の水引を用いる場合もありますので注意しましょう。
現金(香典)の表書き
香典の表書きは、外包みの上部中央に「御仏前」「御佛前」「御供物料」のいずれかを書き、その真下には渡す側の氏名をフルネームで記入します。
※先方が四十九日以内の場合には、お彼岸としてではなく四十九日のお悔みとして「御霊前」の表書きを選びましょう。
②お供え物の場合
お彼岸時期に関わらず、お線香などお供え物をお渡しする際は、品物に「掛け紙(かけがみ)」と呼ばれる水引付きの紙をかけるのがマナーです。
掛け紙は「熨斗(のし)」と呼ばれることもありますが、のしは本来「結婚式の祝い事(慶事)」で使用される呼び名です。弔事の際は「掛け紙」と呼ぶので間違えないようにしましょう。
お供え物の表書き
お彼岸のお供えにおける表書きは、上部中央に「御仏前(御佛前)」または「御供」と書くのが一般的です。香典袋と同様、表書きの真下に渡す側の氏名をフルネームで記入します。
店頭やオンラインショップで品物を購入した場合には、掛け紙もセットで用意してもらえるので、忘れず依頼しましょう。
お彼岸のお供え物について【まとめ】
★この記事では以下の内容について解説しています。
①お彼岸にお供え物をする理由
②お彼岸におすすめなお供え物について
③お供え物の相場について
④お供え物の掛け紙・表書きの種類について
お彼岸は日本独自の風習で、「ご先祖様への感謝の気持ちを込めて供養を行う」大切な時期です。また古来より、お彼岸時期にはお墓参りや先祖祭りの慣習があり、「あの世(彼岸)との距離が最も近くなるお彼岸時期に修行を行うことで、煩悩に満ちたこの世(此岸)を脱して悟りに至ることができる」という重要な仏教行事の一つでもあります。
お彼岸の期間は、ご先祖様の供養を通して仏教修行に触れることで自分自身を見つめ直す良い機会でもありますので、その間は先祖供養を中心に過ごすのが良いでしょう。
★2024年度のお彼岸期間はいつ?
春分の日3/20(水) 春彼岸の期間3/17(日)~3/23(土)
秋分の日9/22(日) 秋彼岸の期間9/19(木)~9/25(水)
やるべきこととしては「お墓掃除とお墓参り」「お仏壇のお参りとお供え」「他家へのお参りとお供え」がメインとなりますので、ぜひ実践してみてください。
本日は以上となります。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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